公開:2019/01/11

認定産業医とは?普通の産業医との違いや更新の必要性は?

認定産業医とは
(*こちらのサイトはアフィリエイトサイトとなり、広告を掲載しています)

◎「認定産業医」とは?普通の「産業医」とどう違う?

産業医に興味がある医師の方は「認定産業医」という言葉についても目にしたことがあるかもしれませんが、産業医と認定産業医の違いって…なんだかわかりますか?

ちなみに僕は2018年に認定産業医の資格を取ったのですが、産業医資格の取り方等について調べる中で「あれ?認定産業医って何だっけ?」となりました。

自分なりに色々とググったりしてみたのですが、産業医関連の情報って法律用語も沢山出てくるのでちょっとわかりにくいんですよね…

と言う訳で、当記事ではかつての僕と同じような疑問をお持ちの方に向けて産業医と認定産業医の違い(資格の取り方、求人、更新の必要性等)についてわかりやすく解説していきます。

すぐに読み終わると思うので、産業医に興味がある方は是非参考にしてください!

◎認定産業医とは

医師会の認定

認定産業医とは、正確には「日本医師会認定産業医」のことです。

読んで字のごとく、「日本医師会の認定を受けた産業医」が認定産業医というわけですね。

日本医師会は、産業医の資質向上と地域保健活動の一環である産業医活動の推進を図るために、所定のカリキュラムに基づく産業医学基礎研修50単位以上を修了した医師、または、それと同等以上の研修を修了したと認められる医師に申請に基づき日本医師会認定産業医の称号を付与し、認定証を交付します。

引用:「日本医師会認定産業医」制度について(日本医師会HP)

ちなみに「産業医」というのは「厚生労働省令で定める要件」を満たした医師のことで、公的な意味合いが強い資格です。

(*便宜上、こちらの産業医を当記事では「(法定)産業医」と呼ぶことにしますが、「(法定)産業医」というのは正式な用語ではありません)

それに対して認定産業医というのはあくまで民間団体である「日本医師会」が認定する資格です。

つまり、「(法定)産業医」と「認定産業医」の関係は「医師免許」と「各種専門医資格」の関係に近いイメージでとらえると良いでしょう。

(*ちなみに産業医の専門医である「産業衛生専門医」というのもあります。こちらは意味合いとしては他の科の専門医と同じですが、ややこしいですね…)

◎認定産業医になる方法

産業医の研修

「(法定)産業医」が「認定産業医」になるためには、先ほど引用したように「(法定)産業医」が医師会に「認定してください」と新規申請する必要があります。

具体的な申請の手順は以下のような感じです。地域ごとに微妙に違うようなので、詳細は勤務地の都道府県医師会にお問い合わせください。

(*認定産業医の申請にあたっては、特に医師会に入る必要はありません。僕も認定産業医ですが、医師会員ではないです)

次の書類に審査・登録料10,000円を添えて所属の都道府県医師会(医師会員でない医師は勤務地の都道府県医師会)に提出して下さい。
 なお、申請方法、申請受付期間は都道府県医師会によって異なりますので、申請にあたっては、一度、都道府県医師会にお問い合わせ下さい。
①認定産業医新規申請書
②医師免許証の写(医師会員は不要)
③産業医学研修手帳(Ⅰ)(基礎研修50単位以上のカリキュラムを修了したことが証明されていること)、または産業医科大学産業医学基本講座修了認定書、産業医科大学産業医学基礎研修会集中講座修了認定書など

引用:「日本医師会認定産業医」制度について(日本医師会HP)

なお、認定産業医への申請は「(法定)産業医」の資格を得た後、5年以内に1回限り行うことができます。

ただ、医師会のHPによると5年以内とは言っても「できるだけ速やかに申請してください」と但し書きがある点はご注意ください。

ちなみに、新規申請してから実際に認定証が届くまでには数か月かかることもある(僕も4か月近くかかりました)ので、余裕を持った申請をおすすめします。

また、「(法定)産業医」になる方法は【6日間で】産業医資格のおすすめの取得方法【取れました】のページも参考にしてみてください。

◎「(法定)産業医」と「認定産業医」の違い

認定産業医のコスト

ここからは「(法定)産業医」と「認定産業医」の具体的な違い(資格の取り方以外)を解説していきます。

大きく違うのは資格の更新の必要性の有無だと思います。

具体的には、「(法定)産業医」には更新期限はなく(=更新は不要)、「認定産業医」は5年毎の更新が必要です。

この辺も医師免許と専門医の関係に似ていますよね。

ちなみに認定産業医の更新のためには所定の研修(生涯研修)を5年間で20単位以上受けることや、更新料として1万円も必要になります。

認定産業医の更新のためにはある程度の金銭的、時間的コストはかかるということです。

では、「(法定)産業医」にはない「認定産業医」ならではのメリットについて考えてみます。

◎認定産業医になるメリット

認定産業医になるメリット

「(法定)産業医」と比べて更新の手間等がかかる認定産業医ですが、何かメリットがあるかと言うと…正直なところあまりありません

そもそも企業等で産業医として働くだけなら「(法定)産業医」の資格だけで十分なのです。

別に「認定産業医でないと働けない」という決まり等は特にありません。

ではなぜ認定産業医の資格を取るのかと言うと、企業の採用担当者等が「認定産業医って…何か普通の産業医より凄そう」と思っている場合に就職が有利になるからです。

要するに、「箔がつく」というやつですね。

箔がつく

別に企業の方に聞いたわけではないですが、「(法定)産業医」と「認定産業医」の違いをちゃんとわかってる企業の方ってそう多くないのではないかと思います。

ちなみに僕の上司も認定産業医の資格を持っています(産業医として働いてはいない)が、この辺の違いは全くわかっていませんでした

推測ですが、あまり詳しくない方が「産業医」と聞いた時に思い浮かべるのは認定産業医の方で、認定産業医ではない「(法定)産業医」の存在は意識されていないのではないでしょうか。

だから、「産業医と言えば5年毎に更新するものだ」と思い込んでいる方もおられるのだと思います。

実際には「(法定)産業医」だけなら更新は不要なはずなんですけどね。

◎認定産業医を更新することで知識のアップデートはできるかも

知識のアップデート

認定産業医のメリットはあまりないと書きましたが、更新のために必要な研修定期的に受けることで知識がアップデートされやすいのはメリットかもしれません。

産業医に関連する法令等も変わっていく可能性がありますし、それを知らないままで産業医の仕事に臨むのはちょっとリスキーだと思います。

まあ、自分で勉強して法令変化等についていけるようならそれも良いのかもしれませんが、研修で説明を受ける方が楽な気はしますね。

なお、前述したように認定産業医の新規申請ができるのは「(法定)産業医」の資格を得てから5年以内です。

「(法定)産業医」の資格を取った後、あまり悠長にしていると認定産業医になる機会を逃してしまうかもしれないので、ご注意くださいね。

◎コロナ禍における認定産業医更新の特例措置

「認定産業医」を初回取得した後、更新するためには5年以内に所定の講習を受けて単位を集める必要がありますが、コロナ禍で多くの講習が中止に追い込まれました。

そのため、「更新に必要な単位が集められなかった…」という産業医の方もおられるかと思いますが、日本医師会より特例措置が発表されています。

2021年3月に発表された特例措置の内容は以下のような内容(一部抜粋)です。

コロナ禍で更新単位を充足できずに既に有効期間が満了した方、今後有効期間の満了を迎える方がおられますが、認定証に記載された有効期限が平成 32 年(令和2年)2月以降の認定産業医については、当面の間は、単位を充足できずに有効期間満了後であっても認定産業医とみなし認定産業医としての活動を認めます。
今般の措置は、有効期間内に単位取得したとみなして、日本医師会が認定産業医として認めるものです。

<引用:コロナ禍により有効期限内に更新必要単位が充足できなかった認定産業医の取扱いについて(日本医師会認定産業医HP)>

僕自身も2023年が認定産業医の次回の更新時期のため助かりました。

ただ、特例措置により「次回更新時期」と「次々回更新時期」の間隔は「通常の5年間より短くなる」可能性もあります。

「コロナ禍における認定産業医更新」について詳しくは上記の日本医師会認定産業医HP等をご確認くださいね。

◎産業医の求人の探し方

さて、産業医の求人をお探しの方には「エムスリーキャリア」等の医師転職サイトがおすすめです。

参考記事→エムスリーキャリアの評判は?医師転職サイトを徹底比較!

産業医の求人は比較的少なく、特に企業へのコネ等がない方は医師転職サイトに登録(無料)して求人を探すと効率的だと思います。

おすすめの医師転職サイトについて知りたい方は医師転職サイト毎の強みを比較-円満退局した医師のおすすめは?のページもご覧ください。

◎おわりに

産業医と認定産業医の違いについてまとめました。産業医に興味のある方の参考になれば幸いです。

産業医の資格を取りたい方は【6日間で】産業医資格のおすすめの取得方法【取れました】のページも参考にどうぞ!