◎医師が医局を辞める理由
僕は大学卒業後、2年間の研修医を経て某医局に入局したのですが、入局後約5年で医局を辞める(退局する)ことととなりました。
理由は色々とあるのですが、大きかったのは「強引な医局人事に振り回されるのが嫌になった」ということです。
医局には所属するメリットもデメリットもありますが、僕にとってはデメリットの方が大きくなったタイミングが入局後約5年後でした。
当ブログ記事では僕が医局を辞めた理由や経緯を簡単にまとめています。
「そろそろ医局を辞めたい」と考えている医師の方の参考になれば幸いです。
◎医師が医局に所属するメリットとデメリット
医局にいるメリットは一般的には人脈が広がること、学位取得や研究面での優位、診療科によっては症例や経験の幅が広がる、等があると思います。
ただこうしたメリットも、「医局人事に振り回される」という強烈なデメリットと比べると、僕にとってはいつの頃からか魅力的に感じられなくなりました。
(*入局の必要性についての考え方は入局は必要?不要?-入局後5年で退局した医師の感想-のページにも書いているので参考にしてみてください)
◎医局にいた時の人事異動を振り返ってみる
僕が所属していた医局では、若手は基本的に「1年毎に大学病院と関連病院を渡り歩く」ような生活になっていて、僕も1年毎に勤務先が変わっていました。
当初は「こんなもんかな」と思っていましたが、段々と医局人事に振り回されるストレスや環境変化のストレスに耐えられなくなってきました。
一度派遣されたものの労働環境の劣悪さから「今後はもう行きたくない」と伝えた病院に再度派遣されたり、関連病院に出て数カ月目で医局の都合で大学に呼び戻されたり…
引っ越さないと通えない病院に変わることも多かったのに、引っ越し代も医局からは出ず、自腹で何度も引っ越しました。
医局の先生や教授自体が嫌というわけではなかったのですが、医局員が「医局の駒として使われている感じ」は拭えませんでした。
◎医局にいた時は時間外手当もほとんどもらえず
医局にいた時は平日は大体3-4時間の残業、土日も毎回ではないものの病棟に顔を出し、何かあれば呼び出され、という生活でした。
時間外手当も特にもらえない、大半はサービス残業状態です。
医師としては特に珍しくもない生活だったと思います。周りの先生も大体同じような感じでした。
しかし、「完全オフ」と言える休日がほぼない状態では家にいても心は十分には休まらず、だましだましやっていたのですが、疲労やストレスは蓄積していました。
当時、仕事後にふと休憩した時になぜか自然と涙が流れたことを今でも覚えています。この頃から「このままではまずい」と転職を真剣に考えるようになりました。
◎子供が成長するにつれ、心境の変化が
前の病院では休日夜間の待機、呼び出しが当たり前で辛かったなあ。電話の着信音や遠くで鳴る救急車のサイレンにびくびくしたり。
子供が物心つく前に今の病院に移れて良かった。子供と遊園地にお出かけしてたら呼び出されて「パパは仕事に行かなくちゃ・・」なんて事態、想像しただけで胸が苦しいわ。— パパ勤務医はぴえすた@退局5年目 (@ishitenshoku777) 2018年2月27日
入局して3年目頃に子供が生まれましたが、子供が2歳くらいまでは大体上に書いたような生活でした。
子供と一緒に食事をする機会も満足にとれず、せっかくの休日に家族で出かけても病棟からの呼び出しで途中で帰宅せざるを得なくなったり、そもそも外出自体できなかったり。
また、1年単位で引っ越すので、子供が保育園等に慣れてもすぐにまた新しい環境に慣れないといけません。
医局に所属している限り、医局の人事には逆らえず、言われるがまま消耗していくしかないのです。
子供が大きくなるにつれ、「こんな生活で良いんだろうか」「一体誰のための人生なんだろうか」という思いも段々強くなってきました。
楽しみにしていた家族とのお出かけを「パパは仕事に行かないといけなくなった」と台無しにされたりするのは、子供からするとショックだろうなと思います。
ある程度の年齢になれば理解してもらえるかもしれませんが、幼い子供にそこまで求めるのは酷というものでしょう。
◎医局を辞めた後の医師の生活
そしてついに、入局後5年で退局の運びとなりました。
退局後の就職先は自分で探し、週4日勤務で時間外勤務や休日夜間の呼び出しが基本的になく、それでいて年収もそれまでよりもアップすることができました。
ちなみに年収は約1000万円→1500万円にアップし、かつ労働時間も劇的に減っているので、実質的な時給で換算すると少なくとも3倍くらいになっていると思います(ついでに退職金も出ます)。
今では子供とも毎日一緒に夕飯を食べ、休日はこれでもかというほど家族でお出かけしています!
行こうと思えば温泉だろうが遊園地だろうが、思い立ったら迷いなくすぐに行けるのです。
はっきり言って、医局にいた時とは生活の質に天と地ほどの差があります(体感的にはQOLが100倍くらい上昇しました)。
医局を辞めて助かった事の1つは「週4日勤務」で良くなったこと(水土日休み)。週5日勤務と4日勤務の差は1日だけど、最大5連勤と最大2連勤では月曜の憂鬱さや週後半の疲労度が段違い。「今週まだ〇日もある…」なんて思う間すらない。
医師の求人で週4日勤務はざらにあるから、体を壊す前に見てみてね。— パパ勤務医はぴえすた@退局5年目 (@ishitenshoku777) 2018年8月9日
今の病院にずっと勤務していられるわけでもないと思いますが、医局を離れたことで「勤務先を自分で選ぶ」という、ごく当たり前のことができるようになったのです。
「エムスリーキャリア」等の医師転職サイトにいくつか登録しているので、今の病院から変わる際は、医師転職サイトの求人から探すつもりです。
医師は大体どこも人材不足の売り手市場であるようで、条件の良い求人はいくらでも掲載されています。
参考記事→エムスリーキャリアの評判は?医師転職サイトを徹底比較!
◎医師のワークライフバランス
最近では「医師の働き方改革」等も話題になっています。
医師という仕事にどれだけのエネルギーを注げるかは人によって違うと思いますが、僕にとっては仕事よりも家庭を重んじたい気持ちが強いです。
仕事一筋の医師の方から見ると、僕の今の生活は「医師失格だ」と憤ったり、鼻で笑うようなものかもしれません。
しかし、僕にとっては仕事もそれなりにしつつ家庭を大事にするというスタンスが性に合っていたのだと思います。
妻も同じようなスタンスであり、僕の価値観を十分に理解して支えてくれています。
たとえ周りからどう思われたとしても、家族の理解や支えがあれば十分に幸せにやっていけると思っています。
◎おわりに
医局を辞めた理由や退局後の生活等について書いてみました。
かつての僕と同じように医局を辞めたいと考えている方の参考になれば幸いです。
また、医局を辞めて転職を検討している医師の方は医局の辞め方マニュアル-医師の転職の方法や注意点-のページもご覧になってみてくださいね!