公開:2018/12/13

【医師の】勤務医が自分を守るためにすべきこと【働き方改革】

医師の働き方改革
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◎勤務医の残業上限が年960時間(*特定医師は1920時間)って冗談でしょ…

医師働き方改革っていつからどんな風に始まるのかな?」と思っていたんですが、今のところ厚生労働省内でこんな感じで議論されているようで驚きました。

医師の働き方改革を巡り、2024年4月から勤務医に適用となる残業時間の上限規制について、厚生労働省が将来的な上限を「年960時間」とする方向で検討を進めていることが12日、関係者への取材で分かった。地域医療提供体制の維持や技能向上を理由に、より長い上限が必要として、特定の医療機関の医師は当面、上限が年千時間を超える見通し。

<引用:勤務医、残業上限を年960時間(Yahoo!ニュース)

ちなみに「過労死ライン」は月80時間の残業。80×12=960ですから要するに勤務医は過労死ラインまでの残業は許容されるということです。

さらに、「地域医療に従事する医師」と「専門性や技能などを高めたい若手医師ら」は年1920時間も許容されるとのこと(*ただし、8時間の勤務間インターバル等を義務付ける)。

こんな話ってありますかね?労働基準法って何でしたっけ…(ちなみに、一般労働者の残業時間の上限は年720時間です)

僕自身も勤務医ですが、医局を辞めてホワイトな職場に転職したため現在の労働環境に不満は特にありません。

しかし、多くの勤務医の方にとっては「年960時間までなら残業OK」の方向で厚生労働省が検討していることは悪夢に近いでしょう。

また、残業の上限を超えた際の事業者への罰則実効性、医師の応召義務との兼ね合い等も気になるところですが、この辺りはまだ検討中のようですね。

◎「現在の医療体制の維持」は医師の健康や人権よりも優先される?

医師の残業

厚生労働省での議論の中で「現在の医療水準や体制の維持のためには…勤務医には毎月80時間残業してもらわないと現場が回らない試算になるな」と、ここまではまあわかります。

しかし、そこで即座に「よし、じゃあ勤務医にはそれくらいの残業はしてもらおう!」となるのは納得し難いですね。

そうではなく、「勤務医を過労死ラインで働かせるわけにもいかないし、もっと業務内容の改善等、工夫できる点はないか?」という方向にいくのが筋ではないのでしょうか?

もっと言えば、根本的な「現在の医療体制を維持する必要性」についても深く議論してもらいたいところです。

ちなみに個人的には医師の過労死を許容してまで現在の医療体制を維持する必要性は乏しいと考えており、過去にこんなツイートもしています。

また、医師が頑張る事で社会が高齢化に苦しむ結果につながってしまう現状にも疑問があります。

医師って現代日本において一体誰の為に,何の目的で頑張ってるんでしょうね?闇雲に現在の医療水準を保つことってメリットばかりではないはずです。

「目の前の患者さんを救う」というミクロな視点では迷いは少ないのですが、医療費が日本社会に与える影響等を考慮してマクロな視点から考えると、「何が全体にとって幸せなのか」と迷いが出てきます…

◎医師が自分を守るためにできること

医師働き方改革で検討されている内容は「勤務医を犠牲にして今の医療体制を守る」ことと言って良いでしょう。

お上は末端の医師の健康や人権、家族との時間等どうでも良いようです。

そして、多くの国民からすると「大変そうだけど、医師は高給だから恵まれてるでしょ」という感じで、「医師を守ろう」とはおそらくならないでしょう。

医師は激務であるにせよ基本的に高給ですが、世間には激務薄給の人も少なくない時代ですからね。

お上も世間も医師を守ってはくれないのなら、医師は自分で自分の身を守るしかありません。

◎医師はブラックな職場からの転職を

ブラックな職場で働いている医師はざらにいると思いますが、「エムスリーキャリア」等の医師転職サイトで医師の求人を見ると実はホワイトな求人が数多く見つかります。

(*「年収2000万円以上」「当直なし」「週4日勤務」等)

参考記事→エムスリーキャリアの評判は?医師転職サイトを徹底比較!

長時間労働が蔓延しているような「客観的に見るとブラックな職場」でも本人が納得(学術的な興味がある、出世の希望がある等)しているなら別に良いと思います。

しかし、職場に強い不満があるのに転職を検討しないのは勿体ないを超えて過労死等の危険すら心配される行為です。

基本的に医師はどこでも不足しているので医師に有利な「売り手市場」です。

ブラックな職場で潰れる前に環境を変えてみることを是非おすすめします。

→参考記事:医局の辞め方マニュアル-医師の転職の方法や注意点-

◎医師がブラックな職場に残る理由

僕自身も医局にいた時は長時間労働が当たり前のブラックな職場でしたが、育児との兼ね合い等もあり、医局を辞めて転職しました。

別に「この職場でないとどうしても駄目」という理由は特にありませんでしたしね。

ちなみに医局を辞めて転職した現在の生活には非常に満足しています。僕は仕事より家族団らんが好きなのです。

さて、現在自分の意に反して辛い職場にいる医師の方がそこに留まる理由って何なんでしょうね?

医局人事や専門医との兼ね合い?担当している患者さんへの申し訳なさ?

それらをどうしても優先したいのなら仕方ありませんが、考えようは色々とあると思いますよ。

◎専門医って本当に必要?

たとえば専門医にしても別に固執することはないでしょう。

(*専門医に関しては新専門医制度で専門医を取る必要性は?取らないデメリットは?のページも参考にしてください)

現状のように専門医更新のハードルが緩く、「誰でも更新できる」ような制度になっている限りは専門医の有難みが増すことは考えにくいです。

「現行の緩い手続きに沿って専門医を更新していることが優れた医師であることの証明になる」と本気で考えている医師の方っていますかね?

逆に、「専門医の数を絞って質を高めよう」という動きが将来出てきた時に必要だと思えば取得もできるはずです。

ただ、既存の専門医ホルダーが自身の資格喪失のリスクを負ってまで更新のハードルを上げようとするとは思えないですね。

従って、この先も専門医は大した重みのない資格であり続けるでしょうし、そうした状況が変わってから取得を検討するのでも遅くないはずです。

まあ、その時には現在よりかなり年数も経過して「今さら専門医なんて別になくても良い」と考える可能性もあるでしょうけど。

◎転職して他の病院に行くと今診ている患者さんを見捨てることになる?

後ろめたさ

また、今診ている患者さんを置いていくことへのある種の後ろめたさみたいなものを感じる方もいるかもしれません。

真面目な先生ほど、そうした思いにとらわれてしまうのでしょう。

ただ、助けを待っている患者さんは他の地域にも日本全国どこにでもいるわけで、どこの病院の患者さんの助けとなろうが違いはないはずです。

「今の病院に留まる」ということは「他の地域の患者さんには手を差し伸べない選択をする」と言い換えることもできますからね。要は考え方一つということです。

また、別に常勤の形態にこだわらなくても良いと思います。

非常勤勤務を週に数回でも医師自身の生活に必要な収入は確保できるでしょうし、十分患者さんの助けにもなりますよ。

◎おわりに

医師働き方改革が検討される中、医師(特に勤務医)が自分を守るためにすべきことについて書いてみました。

患者さんの治療にあたる医師自身の健康や人生も大事ですよ。

ブラックな職場で働いている方には転職も視野に入れて検討することをおすすめします。

なお、「医局を辞めたい」という方は医局の辞め方マニュアル-医師の転職の方法や注意点-のページも是非参考にどうぞ。