公開:2018/06/01

入局は必要?不要?-入局後5年で退局した医師の感想-

医師が入局する必要性
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◎医師が医局に入る必要性は?

医師にとって「入局必要か、不要か」のような議論は以前から関心が高いようで、様々な意見が交わされています。

ちなみに僕自身は某医局に入局後、約5年で退局した身ですが、必ずしも「医局制度自体に反対!」「入局は不要!」というわけではありません。

(*退局の理由は主に医局の強制的な人事異動等が苦痛だったためです。退局の経緯等は入局後5年で医局を辞めた理由-医師の仕事と家庭のバランスのページも参考にしてください。)

また、2018年4月から開始された「新専門医制度」の影響もあり、初期研修後の進路として「大学病院志向(要するに入局)」がそれまでより高まったとも言われています。

医師の新専門医制度と大学病院

ただ、退局した今の自分が医局に関して思うのは、「入局は必須とは言えないが無駄でもない」「入局したからと言ってずっと医局に居続ける必要はない」という感じです。

このページでは退局した医師から見た医局や入局の必要性等について実体験を基に改めて書いてみます。

数分もあれば読み終わると思いますが、医局を辞めて転職を検討している方には参考になるはずです。

◎入局が必要になる場合

具体的にどんな場合に入局が必要であるかについて書いてみます。

◎学位を取りたい医師

まず、学位(博士号)を取りたい場合は入局は必須です。

博士課程

とは言え、学位は「足の裏の米粒(→取らないと気持ち悪いが、取っても食えない)」とも揶揄されるように、取得が必須のものではありません。

開業する際に箔がつくかな?というくらいで、病院勤務の臨床医であれば特にあってもなくても変わりないでしょう。

(*ただ、学位そのものではなく取得のプロセスで得た知識や姿勢等が臨床に活かされることもあるでしょうし、学位取得が全くの無駄と言うことはありません)

また、臨床だけでなく研究もやりたい場合は、設備や環境面等では大学病院が有利なことが多いでしょうから、入局の必要性は高まると思います。

◎教授になる等、出世を目指す医師

学位や研究とも関連しますが、「教授になりたい」等、出世(特に大学病院)を望む方も入局は必須でしょう。

ただ、一昔前と比べて教授の待遇面等での魅力は低下していると思われ、若い方で「どんどん出世したい!」という方はそう多くないような気も…

◎「新専門医制度」で専門医取得を希望する医師

新専門医制度

2018年4月に「新専門医制度」が開始されましたが、この新たな制度下で専門医の取得を目指すのであれば、入局が必要となる場合があります。

と言うのも、新専門医制度で専門医を取るには一定の基準を満たした「基幹施設」で研修することが必要であり、地域によっては「基幹施設=大学病院」となっているからです。

ただ、新専門医制度は各方面から批判の声も多いため、今は大学病院しか基幹施設になり得ない地域でも、今後変わる(入局が不要になる)可能性はあります。

◎若手医師が新専門医制度に乗っかる必要はあるか?

僕自身は新専門医制度については個人的にもあまり良い印象がなく、若い方は無理してこの制度に乗っかって専門医取得を目指さなくても良いのではないかと思います。

別に「専門医を持っている=優れた医師である」というわけではないですしね。

旧専門医制度下では単なる学会出席(スタンプラリー)程度で専門医の更新、維持をしている医師も少なくなく、専門医と言うだけでは質が担保されているとは言い難いでしょう。

そして、新たに始まった新専門医制度でどのように専門医の質を担保するかも、不明瞭なのが現状です。

とは言え、専攻医にとっては同期の9割以上が新専門医制度のプログラムで研修する中で自分だけ他の道を、というのも現実的には難しいと思います。

よって自分が専攻医なら「仕方なく新専門医制度のプログラムで研修はするけど、将来専門医の取得や長年にわたっての維持を目指すかどうかは未定」くらいのスタンスで行くと思います。

(*新専門医制度については新専門医制度で専門医を取る必要性は?取らないデメリットは?のページも参考になるかと思います)

◎入局が不要な場合

医師が入局する必要性

入局が必要になるのは上に書いた場合くらいで、後は別に「入局が必須」ということはないと思います。

学位や出世はともかくとして、地域によっては「専門医」の取得に関わってくる、というのが引っかかるくらいでしょうか。

◎入局してもずっと医局に留まり続ける必要はない

医局に一度入ったからと言って、一生その医局に居続けないといけない、なんてことはありません

勿論、退局する際には引き留められたりはするかもしれませんが、医師免許を持っている限り、「医師として働けない」という事態はまず考えられません。

一昔前と比べて、医局の影響力も下がったものです(地域や診療科にもよりますが)。

僕自身も退局しましたが、特に問題なく近隣の病院で勤務医を続けています。

とは言え、同じ医局を辞めるにしても穏便に、円満に別れるに越したことはない、というのは確かだと思います。

ちなみに、医局を辞めて転職するなら「エムスリーキャリア」等の「医師転職サイト」への登録(無料)は必須ですよ!

→参考記事:エムスリーキャリアの評判は?医師転職サイトを徹底比較!

◎一度は医局に入るのも良い経験になる…かも

別に一生医局に属さずに医師を続けていくことだってできますが、長い医師人生の内の最初だけでも医局に入っておくのは、自身の経験から言っても無駄ではない気がします。

医師の人生の選択

僕の場合も、医局人事に振り回された結果とは言え、色々な病院や環境で経験を積めたことは少なからず役に立っていますしね。

上にも書いたように、途中で退局してやっていくことだってできますし、入ってみて自分に合えば留まれば良いし、合わなければ無理して留まり続ける必要もないと思います。

自分は医局の強制的な人事に耐えかねて辞めましたが、そういうのが苦でなかったり、別の面のメリットを強く感じる方等は、医局に居続ける選択肢もありでしょう。

医師の人生もひとそれぞれ、各々の価値観に合った生き方をしていけば良いだけのことだと思います。

◎おわりに

入局必要性について、退局した医師の目線で書いてみました。

若手の医師の方等、入局するかどうか迷っている方の参考になれば幸いです。

また、もし現時点で「医局を辞めたい」「転職したい」と考えている方は、以下のページ等も参考にしてみてくださいね!

医局の辞め方-退局を希望する医師が必ずすべきこと

医局を辞めた医師が感じた最大の障害と対処方法