◎臨床医以外の医師の働き方は?
医師には臨床医以外にも産業医や研究医、公衆衛生医等の多様な働き方があるのはご存知だと思います。
ただ、実際には「医師免許取得後、大半の医師が臨床医になっている」というのが現状であり、こういう状態は果たしてどうなんでしょうかね?
医師の中には、「とりあえず臨床医として働きだしたものの、本来は産業医や公衆衛生医等の方に適性がある」という方も少なからずいると思います。
皆が皆、臨床医に向いているわけではないんですから、「適材適所」で働けると良いと思いませんか?
と言う訳で当ブログ記事では「臨床医以外のおすすめの働き方と注意点」についてまとめていきます。
「臨床医として働いてきたけど、何か違う…」「ワークライフバランスを意識して別の働き方についても検討したい」等とお考えの医師の方は是非参考にしてみてください!
◎臨床医以外の働き方の具体例
臨床医以外の医師の働き方は数多くありますが、代表的なものを具体例として以下に挙げてみます。
- 産業医
- メディカルドクター(製薬会社勤務)
- 査定医(生命保険会社勤務)
- 研究医
- 公衆衛生医
- 介護老人保健施設の施設長
- 起業家
考えてみると、臨床医以外にも意外と多くの働き方がありますよね(上で挙げた例が全てでもありません)。
医学部に入ったからと言って必ずしも臨床医という進路を選ばなくても良いわけです。働き始めた後でキャリアを変更することも珍しくありません。
「多様な働き方を選べる」というのは医師免許の大きな強みですから、できるだけ活用するのが吉だと思います。
医師って資格の強みを活かして多様な働き方を選べたり転職や再就職し易いのが利点の1つだと思うんだけど、医局や専門医のしがらみ等でせっかくの利点を潰してちゃあ不遇な働き方になるのも無理はないと感じる。
看護師さんの方がよっぽど自分の資格の強みを活かして理に適った生き方してると思うなあ。— はぴえすた (@ishitenshoku777) May 31, 2019
では、それぞれの働き方や特徴、注意点等について簡単にまとめていきます。
◎産業医の特徴
「産業医」とは企業で働く労働者の心身の健康管理を行う医師のことです。
産業医が必要な職場は全国に16万以上あるのに対し、実働している産業医の人数は3万人程度らしく、産業医の不足が問題となっています。
ちなみに、産業医として働くには医師免許の他に「産業医資格」が必要ですが、これは意外と簡単に取得できます。
自分も2018年に6日間で産業医資格を取得しました。
(参考記事:【6日間で】産業医資格のおすすめの取得方法【取れました】)
今のところは産業医として働く予定ではないですが、現在の職場を何らかの事情で辞めたとしたら次のキャリアとして産業医は検討に値すると思っています。
なお、産業医に興味がある方は「エムスリーキャリアエージェント」や「民間医局」等の医師転職サイトに求人が掲載されているのでご覧になってみてください。
(*当ブログで紹介している医師転職サイトの登録や利用は全て無料です)
参考記事→エムスリーキャリアの評判は?医師転職サイトを徹底比較!
◎メディカルドクターの特徴
「メディカルドクター」とは製薬会社で働く医師のことです。
新薬や医療機器の開発、臨床試験に参加し、基礎研究とは別の分野で医療の発展に貢献しています。
メディカルドクターとして働く場合、医師免許以外の特別な資格は基本的に不要です。
ただ、海外の企業や研究機関と英語でのやり取りを行ったりすることもあり、高い語学力やコミュニケーション能力等が必要となります。
勤務状況は企業にもよりますが、一般的な臨床医と比較すると福利厚生等が充実しており、ワークライフバランスも保たれていることが多いようです。
また、会社によっては専門医の資格維持等の観点から、「週に1日は臨床治療に従事する」等の「兼業」を医師に認めている所もあります。
◎保険会社の査定医の特徴
「査定医」とは生命保険会社に勤務し、生命保険加入希望者の引き受け審査や支払い発生時の審査等を行う医師のことです。
「社医」や「診査医」等と呼ばれることもあります。
日本においては生命保険の加入率は約9割とされており、公平な保険システムを維持するためには不可欠な存在ですね。
査定医もメディカルドクターと同様に企業に雇われることになるため、一般的な臨床医と比べるとワークライフバランスは良いことが多いと思われます。
◎研究医の特徴
「研究医」とは大学や研究所等で医療に関する基礎研究を行う医師のことです。
自分自身は研究に全く適性がないと自覚しているので進路としては選びませんが、基礎研究が非常に重要であることは確かです。
余談ですが、某医療漫画で教授が研修医に対して「私は自分の研究成果で数百万人以上(だったかな?)の患者を救ったよ」みたいなことを言い放つシーンがありましたね。
臨床医が生涯で直接的に救える患者さんの数には限界がありますが、研究成果によってその100倍以上の患者さんを救うことも可能であると考えると夢があるとは思います。
◎公衆衛生医の特徴
「公衆衛生医」とは全国の保健所や都道府県庁等、地域保健分野で働く医師のことです。
行政の職員として地域全体の健康づくりのため、健診の実施や環境衛生、食品衛生に関する医学的評価や判断等の多岐にわたる業務を行います。
(「公衆衛生医」は地方公務員ですが、国家公務員の場合は「医系技官」と言います)
ちなみに医師が公務員として働く職場として最も多いのが保健所であり、「保健所長は(例外を除いて)医師でなければならない」と定められています。
公衆衛生医も基礎研究等と同じく、目の前の患者さんを直接診療するよりも多くの方の力になることもできる働き方と言えるでしょう。
ただ、厚生労働省等で働く医系技官はかなり激務のようですね…
国の根幹に関わる仕事なのである意味当然かもしれませんが、人によってはその分やりがいも見出せるのかもしれません。
また、ちょっと趣向は異なりますが、刑務所や少年院等の「矯正施設」で被収容者の診療等を行う「矯正医官」という働き方もあります。
こちらは国家公務員とは言えワークライフバランス的には保たれているようですが、一般的な病院勤務等とはまた違う意味で社会的な意義のある仕事のように思われます。
◎介護老人保健施設の施設長の特徴
「介護老人保健施設の施設長」とは介護老人保健施設(老健)入所者の健康管理を行う医師のことです。
老健では1名以上の常勤医師の在籍が必須であり、施設長として施設運営に関わる他、勤務医として従事するケースもあります。
老健で働く医師は体力的な理由等で臨床現場の第一線から退いた60代、70代の医師が多いようです。
◎起業家の特徴
最後に、医師免許を持って「起業する医師」についても書いてみます。
(*開業医になるのも広い意味では「起業」にあたるかもしれませんが、当ブログ記事では「臨床医以外の働き方」について書いているので開業医は除外します)
医師が医療と無関係の分野で起業する場合もありますが、やはり医療に関連したサービスの立ち上げ、アプリやWebシステムの開発等に携わるケースが多いようです。
これまで紹介した働き方はあくまで企業等に雇われの身でしたが、自身が起業する場合は待遇等も千差万別です。
起業して成功すれば臨床医とは比較にならない稼ぎや名声等を得る事もできますが、「医療を良くしたい」等の強い信念がないと事業を続けることは難しいでしょう。
◎おわりに
「医師の転職-臨床医以外のおすすめの働き方と注意点」について書いてみました。
医師には臨床医以外にも多くの働き方があることを再確認していただけたでしょうか?
臨床医が肌に合わなかった方が他の道で花開くこともあるでしょうし、当ブログをご覧の方に自分に合った働き方が見つかる事をお祈り致します。
なお、実際に「転職してみようかな」とお考えの医師の方は以下のページに自分の体験談も踏まえた注意点等をまとめているので、是非参考にしてくださいね!