
◎医師に不動産投資はおすすめできません!
当ブログご覧の医師の方は不動産投資に興味がありますか?
確かに不動産投資は「医師におすすめの副業」や「不労所得」等として紹介されることも多いようです。
また、「マンションを買って節税しませんか?」等と業者に声をかけられたことのある方も少なくないかもしれません。
ただ、一応僕も「50歳までに不労所得生活(配当金300万円/年)の実現」を目指して資産形成をしている身ですが、個人的には「不動産投資はおすすめ」とは言い難いですね…
(*最新の投資成績や運用状況は医師がサイドFIREに至るまで【2022年6月の投資評価額:約4716万円】のページにまとめていますので参考にしてください)
勿論、世の中に不動産投資に成功している医師の方はいますがそれはあくまで例外的な存在で、多くの医師が同じように成功するとは思えないのです。
ということで、当ブログ記事では医師に不動産投資をおすすめしない理由や、逆に医師におすすめの投資について紹介していきます。
現時点で「不動産投資をやってみたい」と思われている医師の方は、当ブログ記事で紹介している不動産投資のリスク等を踏まえた上で改めて考えてみてください。
(*当ブログ記事を読んで「それでも自分なら上手くやれる」と思われる方は別ですが、少しでも不安に感じるは手を出さない方が賢明だと思います)
◎不動産投資は「副業」や「不労所得」ではない(重要)
そもそも不動産投資を「副業」や「不労所得」等という、ある意味軽い言葉で表現しても良いものでしょうかね?
僕からすると不動産投資はとてもじゃないですが、本業の片手間でできるようなものとは思えないんですけどね…
不動産投資はあくまで「賃貸業」という「事業」であり、「不動産投資をするのは起業するのと同じ」というくらいの心構えが必要だと思います。
(*不動産は「数千万円~1億円以上かかることもある高い買い物である」ということを改めて意識しましょう。金額が大き過ぎるとリアルに実感しにくいものではありますが…)
「何もしなくても毎月安定して家賃が入ってくる」なんていう甘いイメージは早々に捨て去った方が賢明ですよ。
勿論、不動産投資で儲かっている人もいるでしょうが、「うまくやれば儲かる」なんていうのは他のどんな投資でも同じことです。
むしろ、儲かっている人よりも不動産投資で失敗した人の体験談を色々と読んでみることをおすすめします。
(*ネット上や書籍等でいくらでも読むことができますし、不動産投資に失敗したドクターも勿論います…他人と同じ失敗をしないために読んでおきましょう)
◎不動産投資をおすすめしない理由
さて、僕が不動産投資をおすすめしない理由を端的に言うと「不動産投資は手間やリスクの割には儲からない」からです。
後述しますが、不動産投資をするくらいなら普通に株式投資をする方が遥かにマシだと思いますし、実際に僕も資産運用は株式投資を中心に行っています。
(*「株式投資なら確実に儲かる」等と言いたいわけではありません。手間やリスク、リターン等を考えると不動産投資よりはマシということです)
「不動産投資をしてみたい」と思っている方も、別に「不動産そのものに興味がある」というわけではないですよね。
単に「本業以外に副業的な収入が欲しい」というだけなら、その手段は不動産投資でなくても良いはずです。
自分の目的とそれに見合った手段を改めて考えてみてくださいね。
◎不動産投資の手間とリスク
不動産投資の難点を挙げればキリがないのですが、いくつか代表的なものを書いてみます。
例えば物件の購入にあたっては「実際にその物件に足を運んで現地確認することが必須」とされていますが、これだけでも相当に手間がかかると思います。
しかも現地確認の際には外見だけでなく内覧をするのも当たり前です。
(*建物の近くに寄って外からちょっと見るくらいでは駄目)
さらに、現地確認するのは休日の日中だけでは不十分で、休日の夜間や平日の日中・夜間等、様々な時間帯で人通り等をチェックしないといけません。
(*休日と平日、日中と夜間で街の雰囲気がガラッと変わることもあります。日中は閑静な住宅街に見えても夜には駅前の居酒屋が開いて治安が悪くなる、等)
今は物件の情報をインターネット等である程度は確認できますが、そうした情報だけでは不十分でしょう。
不動産投資の成功のためにはこうした手間を惜しまないことが重要なのです。
また、現地確認も1つの物件だけでなく比較検討のため数件、数十件と同じ調査をしてまわらないといけません。
果たして、多忙な医師にそこまでできるでしょうかね?
とてもじゃないですが、僕は休日や平日にわざわざ時間をとって現地確認なんてやってられないですね…お目当ての物件が近場にあるとも限りませんし。
勿論、やるべきことは現地確認だけではありません。
売主やローンを組む銀行との交渉もありますし、物件購入後も定期的な建物のメンテナンスや空室対策など、やるべきことは盛り沢山です。
さらに、仲介手数料等を目当てに粗悪な物件を勧めてくる悪徳業者もいますし、知識がないとそういう業者を見抜くことも困難です。
はっきり言って、「世間知らずでお金はあるけど時間はない」みたいな医者が不動産投資をしても「いいカモ」になるだけだと思いますけどね…
(*この「悪徳業者」の存在が、不動産投資をおすすめしない大きな理由です。業者が必ずしもこちらの味方ではないというのは非常に厄介です)
そうした苦労の割に大して儲からないのであれば、不動産投資をおすすめする理由を探す方が難しいんですよね…
後学のため不動産投資の本を10冊以上読んでみた感想としては「こんなん本業の片手間にできるか!」って感じ。不動産業者が必ずしもこちらの味方と限らないのも痛い。
素人が不動産投資するくらいなら個別株の方がまだマシで、個別株より低コストのインデックスファンド買う方が随分マシだと思うなあ。— はぴえすた (@ishitenshoku777) December 26, 2019
◎不動産の「家賃保証」の注意点
「粗悪な物件を勧めてくる悪徳業者に注意」と書きましたが、他にも注意すべき点はあります。
例えば「30年間家賃保証」等と謳う業者を目にしたことがあるかもしれませんが、これは必ずしも「30年間同じ家賃額を保証する」という意味ではありません。
「契約期間は30年でも、その間に家賃額の見直し(引き下げ)を行う」等と契約書に小さく書かれていたりします。
(*サブリース契約の家賃保証は5年、10年毎に見直しを行う業者が多いようです)
また、数十年間のサブリース契約をしていても、その間に業者が破綻するリスクも考えておいた方が良いでしょう。
(*実際にサブリース事業を行っていた業者「スマートデイズ」が2018年に破綻した「かぼちゃの馬車」の件は大きな話題になりました)
「物件の管理は業者に丸投げでお任せ、家賃もずっと保証されて簡単に儲かる」なんて甘い話はまずないと心得ましょう。
◎不動産投資のリターン(利回り)は意外と低い
不動産投資の難点やリスクについて色々と書きましたが、では不動産投資でどれくらいのリターンが期待できるのでしょうか?
勿論、物件や立地等によって不動産投資のリターン(利回り)は大きく違います。
ただ、平均すると都内のワンルームマンションで4%程度のようです。
(*地方の物件なら利回り10%を超える物件もありますが、借り手も少ないので注意が必要です)
さらに、表面的な利回りが高くても物件の維持費や空室で家賃が入らないリスク等を考慮すると実質的な利回りはさらに低下するでしょう。
(*維持費の例:退去時の原状回復費用やリフォーム・補修費用等々が定期的に発生します)
この程度の利回りなら別に不動産投資でなくても良いと思いませんか?
(*株の配当利回りでも4-5%の銘柄を探すのは難しくありません)
なお、不動産投資の唯一の(?)メリットはローンを組んで借金をすることで「レバレッジをかけて投資ができる」ということです。
例えば、自己資金1000万円の人が利回り5%の株を買った場合の配当金収入は50万円ですよね。
一方、同じ人が不動産投資でローンを組んで1億円の物件を購入したとすると、利回り5%なら年間の収入は500万円になります。
利回りは同じでもローンを組んで物件を買うことで、得られる金額は大きく変わるということですね。
ちなみに医師は安定した高収入が期待できるため、銀行で不動産投資のための融資を受けやすい(ローンを組みやすい)と言われます。
それを以て「医師には不動産投資がおすすめですよ」と言うのは間違いとは言えません。
ただ、個人的には「借金してまで投資をせんでも…」という感じですね。
借金をしてレバレッジをかけるのは諸刃の刃なので、成功すれば大きく儲かりますが失敗すればローン地獄が待っています…
そんなリスクをとってまで不動産投資をしようとは個人的には思いませんね。
◎資産が不動産に偏るリスク
不動産投資の見逃せないリスクとして「資産の大半が不動産(おそらく国内の)に偏ってしまう」ということもあります。
資産運用の基本は「分散投資」ですが、不動産投資に数千万円以上を費やしてしまうと他に投資する余力がなくなり、資産の大半を不動産が占める「集中投資」になってしまいます。
これだと将来もし日本の不動産の価値が下落したら、それに伴って自分の資産も同程度下落してしまいますよね。
勿論、日本の不動産の価値が将来どうなるかは不明ですが、特定の資産への集中投資は避けて分散投資をするのが無難とは言えるでしょう。
(*僕自身も国内だけでなく米国への投資等もバランス良く行っています)
また、何かしらの理由で「不動産を売って現金化したい」と思っても、すぐに売れるとは限らない(=流動性が低い)のも困ります。
このように、不動産投資(現物)は小回りがきかないのもデメリットと言えるでしょう。
◎不動産投資以外のおすすめの投資
最後に、不動産投資以外のおすすめの投資について紹介します。
僕は投資の基本である「長期・積立・分散」を意識した資産運用を行っており、「50歳までに不労所得生活ができるようになる」ことを目標としています。
ちなみに資産の2割程度は国内の「REIT(リート:不動産版の投資信託)」に投資しています。
REITの利回りは5%以上のものも多くあり、数万円程度で購入できるので、不動産投資がしたい方なら「現物の不動産」ではなく「REITへの投資」の方がおすすめですね。
(*REITなら現物の不動産と違って流動性が高いので、現金化しようと思えば数日以内にも可能です)
◎おわりに
医師に不動産投資をおすすめしない理由について紹介しました。
不動産投資を検討している方の参考になれば幸いです。
なお、資産運用に興味がある方は医師にお勧めの資産形成の方法まとめのページもご覧になってみてくださいね。
(*最新の投資成績や運用状況は医師がサイドFIREに至るまで【2022年6月の投資評価額:約4716万円】のページにまとめていますので参考にしてください)